2023/05/10 10:26
爽やかな薫風のころとなりました。
ワインの勉強を兼ねた会食には、いつも参加者から持ち寄られる飛び切りのワインたちが集うのですが、今回はこちらに注目しました。
イタリアのルイナスという白ワインです。
産地は、地中海に浮かぶサルディニア島です。
ニュージーランドや対馬のように、南北に島が2つ並んでいまして、南の島がイタリア領のサルディニア島です。
ローマやナポリの沖合になります。
ちなみに、すぐ北に位置するのはフランス領のコルシカ島です。ナポレオンの出身地で有名です。
今日は、そのサルディニアの特徴をもっとも表す葡萄品種「ヴェルメンティーノ」のワインです。
グラスに注がれると、濃い黄金色が目を奪います。
貴腐ワインではないのですが、ソーテルヌの貴腐ワインのような高貴な芳香が漂います。
一口含むと、ねっとりとした粘性を感じます。骨太の構造と濃醇な風味が支配します。
骨太というと、あまり美味しそうなイメージがしないかもしれませんが、そうではありません。
確かに優美というよりは、直球勝負のような虚飾を排した性格の中にも、それに留まらない複雑な構成要素をまとっています。
さきほどの高貴な風格が持続して、いつまでも美味しくいただけます。
お料理は、桜鯛のグリエを海藻のソースでいただきました。
海藻といっても、バターとクリームで濃厚に仕上げてありました。
まさにヴェルメンティーノの凝縮感にふさわしい組み合わせでした。
余談ですが、このお料理の英語名が、お店のメニューに付記されていました。
そこには、
Grilled Sea Bream with Seaweed sauce
と書いてありました。
Googleで「海苔 英語」と検索すると、seaweed と回答されます。
おなじく、「わかめ 英語」と入れると、やっぱり seaweed と回答されます。
それではと、「こんぶ 英語」「ひじき 英語」と攻め立てますと、言うに事欠いて「konbu」「hijiki」と返してきます。
海藻になじみの深い民族と、食用にしてこなかった民族の生活様式が言語に現れています。