賢者のワイン

2023/10/02 14:35


あんなに暑かった夏が過ぎると、ワインの選定も急に秋モードになります。

涼しくなると、虫の声とともにシャルドネの声を聴きたくなるから不思議です。

シャルドネの愛好家は、樽の効いたワインから湧き上がるバターの風味が好きなタイプと、果実味を好むタイプに大別される傾向にあります。

非常に高級なワインには、この相反するように見える2つのキャラクター、すなわち、「濃醇にして快活」を同時に満たすものもありますが、福沢先生のお力を借りないとなかなか入手できません。

シャルドネ100%であれば、ステンレスで軽く仕上げたとしても、真夏の華・ソービニヨンに比べれば充分すぎるほど濃醇な口当たりになります。

次の課題は、合わせる料理です。
普通は、料理が先に決まっていて、それに合うワインは?という発想になります。

しかし、秋風がシャルドネを先に呼んでしまった以上、先客に合わせるほかありません。
このように先に酒が決まっているということは、よくあることです。

ワインの持つ肉感を受け止める必要がありますね、どうしましょうか?
かといって、まだ27℃はあるので、あんまりもったりする料理も嫌ですよねえ。

・・・と思ってスーパーの折込チラシに眼をやりますと。。。
国産鶏もも肉の特売情報がありました。

これで素材は決定です。
あとは調理法ですが、レシピサイトをつらつらめくります。
「クックパッド」が一世を風靡していたのも昔の話になりました。

自社でなんでも制作して、自社の責任で掲載するのが当然と思われていた時代に、一般ピープル参加型でレシピサイトを普及させたのがクックパッドでした。

素人が勝手に作ったものを投稿させるだけで制作費がかからない上に、読者の投票制にして競わせるという、いまでいうプラットフォームの概念を先取りしたサイトでした。

上場して莫大な公開益を創業メンバーにもらたしたようですが、その後、仲間割れをし始めるころから雲行きがおかしくなっていきました。

そこへ、もっと若い世代の起業家が斬新な発想で登場して、市場を奪取してしまいました。
自主制作100%、素人ではなく一流シェフや最低でも調理師免許をもつ社員によるレシピ提案という、正反対の作戦で現れたクラシルです。

何よりも、「すべて動画」「すべて1分以内」という徹底した方針が、「子供のなりたい職業」がユーチューバーという時代背景と合致しました。

で、クラシルを見ていると、すべてがプロによる提案だというのが安心感になることがわかります。
また、数十秒で全部が完結する動画で見せてくれるというのも、「あれにしようか、これにしようか」という「短時間で量を見たい」ニーズに最適です。

慎重なる審議の結果、「鶏肉とクリームチーズのおかか和え」にしました。
レモン汁の効果があって、標題の「夏から秋」にはぴったりでした。

サラダチキンのブームのころは、コンビニなんかでもかなり売上を獲得していたらしいですが。
薄い下味がついていて、それがそのままでも1品になるとか、サラダに入れても埋没しないとか効能はあるみたいですけど、あのお味って、わざとらしくないですか?

こうして、無味の肉それだけを加熱しただけのものを、ほいと和えるやつを食べてしまうと、断然こちらのほうが美味しいですね。

「無力は邪力に勝る」といいますと、本当かな?と思いますけれど、「力」を「心」に替えてみると、それらしい説得性が出て参ります。


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