2023/12/05 13:32
昔に比べて、ワインも日常生活のなかで普通に楽しむ方が多数派になりました。
「ワインを飲むときには、知識やルールはいりませんよ」、と我々ワインの商売をやってる人間たちは、長いこと口を酸っぱくして強調してきたのですが、最近はやっと肩の力が抜けて、自然体で飲んでいる人々が増えたように思います。
ただ実際には、ワインなんてしょせん嗜好品なのに、「知識がないと恥ずかしい」と(内心)思う人々がまだ多いようです。
ビールを飲む時にホップや麦芽の講釈を垂れることはありませんし、お茶を飲むのに「静岡だ」「宇治だ」と言っている人を見たことがありません。
それなのにワインになると、急に人間が変わる人が続出するから不思議です。
(飲む前に呑まれてしまっているのでは?)
ラベルを読もうとしてはいけません。
ビールはいきなり飲むのに、ワインになると「どれどれ」とか言って、古代エジプト出土品に刻まれた絵文字を解読するような儀式が割り込んできます。
これでは楽しくありません。
ラベルと睨めっこしたりしている時間があったら、さっさと飲み始めましょう。
(ワインは読み物ではなく、飲み物です!)
ワインがグラスに注がれると、皿回しよろしくグラスをクルクル回す人が必ず出てきます。
お行儀の悪いことこの上ありません。
いまや高級ワインでも、売りに出されたらすぐに飲んで美味しいような作り方に進化していますから、大半のワインは回さずに飲んだほうが美味しく感じます。
(ワインは飲み物であって、回し者ではありません)
ゴクゴク、ガブガブ、好きなように飲みましょう。