2023/12/07 11:23
人手が足りないと悲鳴を上げるのが挨拶になっていますが、我国は、長らく人手の余った国でした。
戦後に旧民法が改正され、家督制度が廃止されてからも、長男によるイエの相続という習慣が続いたので、農山漁村からは長男以外の若者が大量に都会へ流入してきました。
このことが、製造業も小売業もサービス業も、業種業態を問わず、人海戦術型の事業運営がデフォルトになった原因でした。(松岡真宏『問屋と商社が復活する日』、2001、日経BP)
それが長らく続いたので、どんな産業でもふんだんに従業員が常時勤務していることが、国民の誰にも当然の光景として刷り込まれました。
飲食店では、ホールにたくさんの店員さんがいて、ちょっと手を挙げて合図すれば、誰かがすぐにテーブルまで飛んできて、水だのお茶だのタダでサービスするのが当り前という、お客にとっては楽園のような時代が長く続きました。
そこから頭の切替ができないのが、いまの高齢者です。
もともと「お客様は神様」の世代であるうえに、既に体中に浸み込んだ長年の認識は変われませんので、人手不足というマクロ環境に自己の欲求を適合させる回路がありません。
そこに加齢で怒りやすくなっているので、始末が悪いことこの上ない客層です。
マスコミやSNSは、「荒れるオジサン」ばかり取り上げるのですが、現実には男女の差はありません。
店番も大声で怒りまくるオバサンを何度も見かけました。
こうなると、僅かに残っていた「若い従業員」も、高齢客から罵声を浴びたりしているうちに、どんどん残存個体数が減っていくのは当然です。
外食業の人手不足は、利用客の自縄自縛の側面が強いのではないでしょうか。