2023/12/08 12:10
なんと、「シャトー・グリエ」であります。
(写真の左のワインです。 Chateau-Grillet 1987)
ワインを少しでも勉強したことのある人なら、知らない人はいないが、飲んだことのある人もいない--
という珍しい位置づけのワインです。
なんで、勉強した人なら全員知っているかといいますと、「1つの生産者しかいないAOC」として、「ロマネ・コンティ」と「シャトー・グリエ」を覚えなさい、と教えられるからです。
へぇ~、ロマネコンティは知ってたけど、シャトーグリエってのもあるんだ。。。
というように、「これだけ覚えなさい」と教室で教わったり、教科書を読んだりした人は、す~っと覚えてしまいます。
かく言う店番も、ワイン業界に入ったばかりのころに一世を風靡した田崎真也さんの本を読んで、このローヌ地方のワインを知りました。
しかし、30年近いワイン取扱い経験の中で、最盛期は在庫本数2万本を数えていましたけれど、ついぞお目にかかったことはありませんでした。
輸入会社さんの試飲展示会にも数え切れないほど何回も参加しましたが、ロマネ・コンティが出品されていたことは何度かありましたが、シャトー・グリエにはただの1度も出会いませんでした。
これは、ほかの方々も同じような状況と思われます。
最近、ある有名ソムリエさんのブログを見ていたら、シャトー・グリエを最初に飲んだのはつい数年前というようなことが書いてありました。
業界では非常に有名な方で、すでにベテランで大御所の域に入っているイケメンの名ソムリエであってもそういう調子です。
なにせ、生産量が少なく、日本への輸入量がさらに輪をかけて少ないのです。
年間数十本と言われています。
ロマネ・コンティが一般にも有名で、特段ワイン通でもワイン好きでもないのに、ロマネ・コンティを欲しがる俗物漁り家に注目されてしまうのに対して、シャトー・グリエはそうした通俗界から離れています。
孤高の存在です。
なので、今回の機会は大変な幸運でして、非常に興奮いたしました。
場所は、都心某所の名門倶楽部の個室です。
お料理(フランス料理)とサービスは、これまた名門の会館が受託しているというオーセンティシティであります。
自称名門は数多くありますが、こちらは我国にフランス料理を最初に導入したといっても過言ではない歴史をお持ちです。
そこのソムリエ長さんも、当然知っているが、見るのもサーブするのも初めてと仰っていました。
1987年のビンテージで、既に30年以上経過していますが、まったく古さを感じさせることはなく、それどころか、依然として若々しいパワーに溢れていて、まだまだ上昇中というとんでもない成熟曲線に参加者一同は驚嘆の声をあげていました。
ちなみに、当日そのほかに提供されたワインのラインナップはこちらです。
コルトン・シャルルマーニュ Madison Du Tastelune 2007
ジュヴレ・シャンベルタン レ・セヴォセル Dugat-Py 2004
シャトー・ピション・コンテス・ド・ラランド 1994
スタッグス・リープ SLV Cabernet Sauvignon 2012
大変贅沢な会食でしたが、それより何より、生きているうちにシャトー・グリエを頂けたことに感謝しました。