賢者のワイン

2024/02/12 15:15



こんどのお店の業態はなんですか?と聞かれます。

 

この際どのように返答するかは、実は非常に悩ましいテーマなのです。

 

造る(というか、創る)側の想いをそのまま伝えても、コミュニケーションが成立しないことがあるからです。

 

「コミュニケーションが成立する」とは、話者の意図が正しく伝わることと、聞き手の聞きたい欲求が充足されることの、両面があります。

 

このように分解してみると、この「両面」が同時に満たされることが、現実には難しいことなのだということが、なんとなくお分かり頂けるのではないでしょうか。

 

店番は、BB向けの卸業務の本業とは別に、一般消費者向けの小売店や飲食店の領域で、直営でも10軒以上の店舗を出店(通販店舗ではなくリアルの実店舗だけカウント)してきました。

 

単に決裁したという形式ではなく、企画から資金調達、実際の開店にかかわる諸実務全般を自分で実行した実態です。

 

プロデュース屋さんやM&Aの専門家などが、「これまでに百数十件も経験して参りました」などと公言していることが巷にはよくあります。

 

しかし、それらはアドバイザーやプロデューサーとしての「経験」であり、風呂敷の拡げ方次第では、単に「仲介しました」という案件まで「自分の経験」に含めている人もいます。

 

それを言ったら、こちらは飲食業・宿泊業・アミューズメント産業への納入業者として数千軒と直接の取引をしていましたので、その間に求められて開店のコンセプト策定や実際の現場仕事までお引き受けしたことも数え切れません。

 

企画屋さんや仲介屋さん、あるいは助言の専門家との最大の相違点は、「企画やアドバイスやお手伝いが至らなくて、その店舗が不振になったら、痛い目に合うのは自分である」ということです。

 

ここでいう「痛い目」とは、「販売代金の取りっぱぐれ」です。

不振の規模が大きくなるほど、その額は数千万円に及ぶこともありました。

 

取りっぱぐれなくても、不振で閉店するお店のことは、それこそ数百軒のオーダーでつぶさに観察してきました。

 

そこからは、経験則のようなものは、抽出できています。

そこには、失敗の法則はありますが、大成功の法則はありません。

 

野村克也さんではないですが、「勝ちに不思議の勝ちあり、負けに不思議の負けなし」です。

 

もっとも、「小成功の法則」ならあります。

しかし、それは得てして詰まらないことが多いものです。

 

詰まらなくても、収益を上げることが唯一最大の目的であるならば、それでまったく問題ありません。

 

普通の企業ならこれを淡々と黙々と踏襲すべきでしょう。

(それにしてもノーリスクということはあり得ず、確率が高いという程度なのではビジネスなので当然ですが)

 

しかし、いまの弊社は「普通の企業」ではありません。

事業家とは、自分の夢と希望を実現する者です。

 

現時点での弊社の新事業とは、夢と希望の媒体です。

ファミリービジネスである弊社における夢と希望とは、先祖と子孫各代の夢と希望です。

 

そのうえ今回は、事業戦略の唱道者として自分で発信した戦略提案の妥当性を実証する段階です。

 

人体実験であります。

 

これを、偶然ヒットした後になって、「こういう企画立案だったから成功したのだ」と言う人はあまた存在します。

 

そのような後講釈はみっともないです。

無粋です。

 

でも、「粋」を持ち出した時点で、それに該当する範囲を極度に狭めていることになります。

「粋人」と「無粋」の比率は1:99か、それ以上に開いているはずです。

 

ここに、新事業の準備状況を刻一刻と実況中継している意味があります。

成否は誰にもわかりませんが、糊塗や隠蔽、改竄のない途中経過をお伝えできればと思っています。


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